2023年09月16日

18世紀ヨーロッパのかつらの歴史と意味


ヨーロッパのかつら


18世紀ヨーロッパでは、かつらが一般的な髪型として広まりました。
かつらは、当時の社会や文化に影響を与えただけでなく、それ自体も社会や文化に影響を受けて変化していきました。
この記事では、18世紀ヨーロッパのかつらの歴史と意味について解説します。

かつらが流行した背景と理由


18世紀ヨーロッパのかつらの流行は、主に二つの要因によって引き起こされました。
一つは、医学的な理由です。当時のヨーロッパでは、シラミやノミなどの寄生虫が蔓延し、頭皮に痒みや炎症を引き起こすことがありました。
また、梅毒や結核などの感染症も広まっており、それらの症状として脱毛することもありました。
これらの問題を解決するために、人々は自分の髪を剃ったり、薬品で漂白したりして、かつらを被るようになりました。

もう一つは、ファッション的な理由です。
17世紀後半から18世紀前半にかけて、フランス王ルイ14世が絶対王政を確立し、ヨーロッパの文化的影響力を高めました。
ルイ14世は若い頃から脱毛に悩んでおり、豪華なかつらを被って自分の権威と威厳を示しました。
ルイ14世のかつらは、長くて巻いた金髪で、白い粉をふりかけていました。
このスタイルは、フランス宮廷や貴族階級に広まり、やがて他国の王侯貴族や上流階級にも模倣されました。
かつらは、身分や地位を表す重要なアイテムとなりました。

かつらの種類と特徴


18世紀ヨーロッパのかつらには、さまざまな種類や特徴がありました。
主なものは以下の通りです。

・パリアン:フランス語で「馬尾」という意味で、後ろ髪を一本に束ねたスタイルです。
ルイ14世が最初に採用しました。

・パーウィッグ:英語で「カツラ」という意味で、前髪を分けてサイドに流し、後ろ髪を二本に分けて肩に垂らしたスタイルです。
イングランド王チャールズ2世が最初に採用しました。

・アラ・ブリュタン:フランス語で「ブリュタン風」という意味で、前髪を短く切り揃えて額にかけ、後ろ髪を長くして背中に垂らしたスタイルです。
フランスのブルボン家の王族が好んで被りました。

・アラ・ロンド:フランス語で「丸い」という意味で、前髪を短く切り揃えて額にかけ、後ろ髪を短くして頭の形に沿わせたスタイルです。
18世紀中期から流行しました。

・アラ・ギリシア:フランス語で「ギリシア風」という意味で、前髪を分けてサイドに流し、後ろ髪を短くして頭の形に沿わせたスタイルです。
古代ギリシアの彫刻や絵画に見られる髪型を模したものです。
18世紀後半から流行しました。

かつらの色は、主に白や金色が人気でした。白は清潔感や高貴さを象徴し、金色は太陽や豊穣を象徴しました。
また、かつらには白い粉や香水をふりかけて、汚れや臭いを隠したり、華やかさを演出したりしました。
かつらの上には、帽子やリボンなどの装飾品を付けることもありました。

かつらがもたらした社会的影響


18世紀ヨーロッパのかつらは、単なる髪型ではなく、社会や文化に多大な影響を与えました。
以下にその例を挙げます。

・かつらは、身分や地位の象徴となりました。かつらは高価で手間がかかるものでしたので、それを被ることは裕福さや権力を示すことでした。
また、かつらの種類や色によっても身分や地位が区別されました。例えば、白いパーウィッグはイングランドの法曹界や議会のメンバーが被りました。
金色のパリアンはフランスの王族や貴族が被りました。
黒いパリアンは軍人や聖職者が被りました。

・かつらは、国際的なファッションとなりました。
かつらはフランスから始まった流行でしたが、やがてイングランドやドイツなどの他国にも広まりました。
各国では、自国の文化や気候に合わせてかつらのスタイルを変化させました。
例えば、イングランドでは湿気が多いため、かつらは短くて軽いものが好まれました。
ドイツでは寒さが厳しいため、かつらは長くて厚いものが好まれました。

・かつらは、芸術や文学に影響を与えました。18世紀ヨーロッパでは、啓蒙思想やロココ様式などの新しい思潮や芸術様式が生まれました。
これらの時代精神は、かつらを被った人物像を多く描いた絵画や彫刻などに反映されました。また、かつらは文学作品にも登場しました。
例えば、モリエールの喜劇『女房学校』では、主人公が自分の若さと知性をアピールするためにかつらを被りますが、そのかつらが原因で恋人との関係にトラブルが起こります。
この作品は、かつらがもたらす滑稽さや虚飾を風刺したものです。

かつらは、衛生や医療に影響を与えました。
18世紀ヨーロッパでは、ネズミやノミなどの害虫がはびこり、ペストやチフスなどの伝染病が流行しました。
これらの病気は、髪の毛に寄生する虫や細菌を媒介することで広まりました。
そのため、人々は髪の毛を剃ったり、かつらを被ったりして予防しようとしました。
しかし、かつら自体も汚れや臭いが溜まりやすく、病原体の温床となることがありました。
また、かつらには人工的な色素や香料が使われていたため、アレルギーや皮膚炎などの副作用を引き起こすこともありました。

今では、便利な世の中になり、オンラインでかつらを購入することができるようになりました。
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Posted by 児玉敦 at 13:22│Comments(0)かつら
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カツラ関連業界で働き、カツラに関する豊富な経験を持っています。
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美容師免許、カツラメイク技能士

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海外旅行、読書、映画鑑賞
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